修了を間近に控え、パリ政治学院–GraSPPダブルディグリー・プログラムでの2年間を振り返ると、このプログラムが私の将来のキャリアパスの形成と人間的な成長に、いかに大きな影響を与えたかを実感します。
先輩や同期の薦めでこのプログラムを知ったとき、私は東京大学教養学部の国際関係論の学部課程の4年次を終えようとしていました。パンデミックによる2年間の不確かな日々を切り抜け、自分の将来の方向性や社会への影響について自問するなかで、外交の領域を越えた可能性を探りたいと強く思うようになっていました。 私の2つの母国で提供される、このダブルディグリー・プログラムの多彩な科目と機会が、公共政策の分野で学びを続けるという最終的な決め手になりました。それまでの学びの延長線上にあることに加えて、教育政策やD&I政策をさらに専門的に学ぶことができたからです。特に、ソーシャルイノベーションや社会政策を含むパリ政治学院の幅広い専攻分野(全11ストリーム)の選択肢と、GraSPPで提供される多彩な実践的科目が、それを可能にしてくれました。
パリ政治学院での1年目のリズムは、なかなか厳しいものでした。授業は1コマ2時間で、早ければ朝8時から、遅いときは夜9時まで続きます。定期的なリーディング、政策ペーパー、プレゼンテーション、試験など、課題の量もかなりのものでした。厳しいスケジュールにもかかわらず、この経験は信じられないほど実りあるものでした。「同意」という概念をめぐる哲学的な探究から、名門ゲーム開発企業との共同プロジェクトまで、さまざまなストリームにまたがる多彩なラインナップの授業に取り組む機会に恵まれました。
また、社会起業や文化セクターにおけるD&Iに関する科目など、特定のテーマに焦点を当て、その分野の第一線の専門家や実務家を招く授業もありました。多くの科目でグループワークが重視されていたおかげで、リーダーシップのスキルを高め、緊密な協働を育み、仲間と効果的に働く力を磨くことができました。
GraSPPの授業には、また別の難しさがありました。課題が比較的均等に配分されていたパリ政治学院とは異なり、日々のリーディングを除けば、課題は学期末に集中する傾向があり、綿密で計画的なスケジュール管理と段取りが必要でした。それでも、こうした授業構成は、学校の充実した施設と相まって、課外活動を通じて仲間とつながる数多くの機会を楽しむ十分な時間を与えてくれました。さらに、GPPNコンテストなど、将来の社会に意味のあるインパクトを与えると信じられるプロジェクトに没頭する機会もいくつもありました。
授業の規模は多くが10〜30人程度で、教授陣との密な交流が育まれました。この親密な環境のおかげで、先生方と頻繁に関わり、質問をし、学習内容への理解を深める機会に恵まれました。多くの先生方が学業やキャリアに関する助言にも積極的に関わってくださり、それは特に励みになりました。さらに、柔軟な履修登録の仕組みによって、GraSPP内にとどまらず、他の研究科が提供するあらゆる可能性も見て回ることができました。 キャップストーン(事例研究)の授業はとりわけ印象深く、官民双方の一流のクライアントと密接に協働する機会となりました。これらのプロジェクトを通じて、クライアントのニーズを特定して応える包括的なグループレポートを作成することができ、実践的な経験と、現実世界の課題に対する貴重な洞察を得られました。
パリと東京での暮らしには、それぞれに活気とダイナミズムにあふれた環境という良さもありました。社会政策を学ぶ学生としてパリで印象的だったのは、こうした政策がフランス社会に与える直接的な影響を目の当たりにできたことです。年金改革に異を唱える運動をはじめとする頻繁なデモや活発な学生による抗議活動は、私たちの学びにリアルタイムの文脈を与え、学業での経験を深く現実に結びついた、引き込まれるものにしてくれました。 一方、西洋社会との豊かな文化的コントラストを持つ東京は、社会のダイナミクスに対する別の視点を与えてくれました。この街ならではの文化的景観は、社会課題を観察し理解するための貴重なもう一つのレンズになると思います。
予想していなかったのは、年齢、国籍、職業、学問的な経験など、実にさまざまなバックグラウンドを持つ、刺激的で多様な学生たちに囲まれることの大きな影響でした。フランスと日本の両方で、仲間たちとかけがえのない素晴らしいつながりを築く機会に恵まれました。難民の窮状への意識を高めるためにNGOセクターからゲストを招いた講演会を企画したり、気候変動をより良く理解するための刺激的なワークショップを開いたり、困難な時期にある他の学生に重要な支えや手助けを提供したりと、インパクトのある取り組みを率いる、刺激的な経験と洞察を持つ人々に出会いました。 仲間とともに2年間を過ごしたことは、自分のキャリアパスを見つめる視点を与えてくれ、自分なりのやり方で社会に影響を与える方法についての視野を広げてくれました。この忘れがたい2年間の旅で育んだ友情は、生涯大切にしていくものです。
このプログラムを目指す皆さんに最後のアドバイスを送るとすれば、それは、巡ってくるあらゆる機会をつかんでほしい、ということです。 語学力が許すなら、パリ政治学院ではフランス語の授業を、GraSPPでは日本語の授業を受けるチャンスをぜひ活かしてください。難しさはあっても、得るものが多く示唆に富む授業であることが多いからです。他のストリームや研究科の科目も探してみてください。自分の関心分野に対する思いがけない視点を与えてくれることがよくあります。学校が提供するプログラムやコンテストにも参加してください。結果がどうであれ、得るものの大きい経験になります。最後に、GraSPPの日本人学生のコホートなど、異なるストリームやプログラムの学生とつながる努力をしてください。 こうしたつながりは間違いなく、プログラムの2年間をはるかに超えて続く、忘れがたい関係につながっていくはずです。