いくつかの国を旅し、学び、働いてきた私は、東京大学の公共政策修士課程(Master of Public Policy)に入る前から、多様性というものを経験してきたつもりでいました。それがどれほど間違っていたことか。あれから1年、行動科学から国際関係論、環境経済学を経て機械学習に至るまでさまざまなテーマを学び、オーストラリア、中国、コスタリカ、ドイツ、インド、インドネシア、日本、韓国、ネパール、フィリピン、米国、シンガポールなど、数え上げればきりがないほど多くの国から来たクラスメートと出会い、友人になりました。次の1年を心待ちにしながら、これから入学を考えている方々の助けになればと思い、私の経験をお伝えしたいと思います。
なぜ日本か?
当初、私は日本に特別な関心があったわけではありませんでした。しかし、ヨーロッパで勤めていた日系銀行から研修のため東京に派遣されたことで、私の見方は変わりました。最初の訪問の後、日本は私の最大の関心の的になりました。その後も訪れるたびにもっと知りたいという思いが募り、ついには日本へ完全に移り住むことを決めました。日本での生活はいつも驚きに満ちていて、好奇心と開かれた心があれば、楽しい発見が無数にあります。大学以外のことで言えば、日本は世界で最も多様な食のシーンのひとつを誇るので、この1年は私にとって刺激に満ちた食の旅でもありました。文化的背景にかかわらず、日本は多くを学べる興味深い社会であり、間違いなくあなたの視野を広げてくれるはずです。これは人として成長するうえで貴重なことであり、政策立案に携わるつもりであればなおさらだと思います。
なぜ東京大学か?
東京大学は日本のトップ大学のひとつであり、ほとんどの授業を、知識豊富で評価の高い日本人の研究者、実務家、公的機関の職員が教えています。直近の学期には、日本銀行、経済産業省、アジア開発銀行、国際エネルギー機関などから来られた教授陣の授業に出席しました。大学のネットワークは、国内外の多くの興味深いイベントへの扉を開いてくれます。私は2日間のJICA-IMFセミナーに参加しましたし、クラスメートの多くはロンドンでのポリシーチャレンジに参加し、ヨーロッパやワシントンD.C.に渡って国際機関を巡った人たちもいました。さらに、東京大学の学生として全研究科の授業にアクセスできるため、自分の専門分野の外の知識も追求することができました。新しく入学する皆さんには、ここでの時間を最大限に活用し、新たな関心分野を開拓することをお勧めします。私自身は、定量マクロ経済学やデータサイエンスといった経済学研究科の授業をとりわけ楽しんできました。
なぜMPP/IPか?
私はもともと技術系のバックグラウンドの出身です。長年にわたり金融を学び、働いてきたなかで、社会科学の知識を築くことに関心を持つようになりました。MPP/IPでは、技術的なテーマと政策主導のテーマの完璧なバランスを見つけることができました。コミュニティは多様で、学士課程を出たばかりの学生から、アジアの公共部門で働くミッドキャリアの実務家までが集まっています。この環境はMPP/IPならではのもので、特にグループプロジェクトの際には、学生同士の貴重な交流が生まれます。私はインドネシアの友人たちと、東南アジアに関わる具体的な政策課題に取り組むのが特に楽しく、それが縁でジャカルタでのインターンシップにつながりました。加えて、このプログラムは国際的にも競争力があり、学生は1学期間の留学や、世界のトップレベルの政策系大学院でのダブル・ディグリー取得が可能です。私は来年、交換留学でUCLAに行く予定ですし、CAMPUS Asiaを通じてGraSPP在学中に他のアジアの大学を訪れ、真の地域専門性を築いていく学生に出会うことも珍しくありません。最後に、ヨーロッパ出身の学生として、日本の、さらに広くアジアの視点から公共政策を学べたことは、このテーマに新たな次元をもたらしてくれる、とても興味深い経験でした。
日本での私の経験が、皆さんがこの国を探求し、東京大学で公共政策の学位を目指すきっかけになれば幸いです!