東京大学公共政策大学院(GraSPP)での経験は、私にとってかけがえのない学術的な旅であり、人間的にも職業人としても私の成長を形づくってくれました。GraSPPは強固な基盤を与えてくれ、ラオス中央銀行(Bank of the Lao PDR: BoL)での金融政策に対する私のアプローチを形づくっています。
GraSPPでは厳格な学術環境に身を置き、さまざまな公共政策や経済学を探究する機会に恵まれました。プログラムは、理論と実践を織り交ぜることで、公共政策への理解に挑戦し、それを広げるよう設計されています。一方で柔軟性もあり、ショッピングウィークの期間にいろいろな授業をのぞいて、自分の関心に合った科目を選ぶことができます。 金融政策(Monetary Policy)、公共政策のための計量経済学(Econometrics for Public Policy)、官民連携(Public-Private Partnership)といった科目は、現実世界の課題に備えられるよう特に設計されていました。政策の専門家や学友とのセミナーや共同プロジェクトへの参加を通じて、政策課題を批判的に評価し、実践的な解決策を生み出す力が高まりました。
GraSPPでの経験のなかで最も大きな影響を受けたことの一つは、人と文化の多様性です。国際的なプログラムであるため、さまざまなバックグラウンドを持つ学生たちとの議論やディベートを通じて、グローバルな課題への理解が育まれました。 学生自治会(Student Council)が率いる強固なコミュニティのもと、教室の枠を超えた協働学習が行われる学生ラウンジで仲間と過ごす時間を楽しみました。こうした協働的な環境は問題解決能力を伸ばし、公共政策が抱える数々の課題に立ち向かう準備となりました。
GraSPPでの時間は、私の人間的な成長にも寄与しました。多忙なスケジュールと厳しいコースワークをこなすには、時間を効果的に管理し、プレッシャーの下でも集中を保つ必要がありました。トップクラスの図書館、ジム、緑地といったキャンパス内の施設のおかげで、学業と体力づくりをうまく両立させた良好なワークライフバランスにしっかりと身を置くことができます。さらに、日本で暮らすことで、その文化や歴史、食の美しさに触れることもできます。こうした機会が私のレジリエンスを育み、目標に向かって歩み続ける力となりました。
修了後はBoLに戻り、金融政策局(Monetary Policy Department)に加わりました。この仕事では、GraSPPで身につけたスキルを現実の金融政策課題に応用しています。私が携わってきた主要なプロジェクトの一つが、インフレを管理し経済成長を促進するための予測・政策分析フレームワークの開発です。GraSPPで学んだ理論的枠組みと修士論文プロジェクトを生かして、マクロ経済予測に貢献し、ラオスにおけるマクロ経済の課題に対処して物価の安定を促す政策立案を支えることができています。
学術の世界から実務への移行には困難が伴います。政策の実施は複雑であり、マクロ経済の目標同士が衝突することもあります。しかし、GraSPPで培った分析スキルとグローバルな視点が、こうした課題を乗り越える大きな力になっています。
総じて、GraSPPでの時間は、金融政策分野での私のキャリアの確かな土台を築いてくれました。BoLでの仕事は学術的な経験と深く結びついており、この分野で意義ある貢献をすることを可能にしてくれています。職業人としての歩みを続けるなかで、私の道を形づくってくれたGraSPPでの経験への感謝を忘れずにいたいと思います。