11月の1週間、フィリピン・マニラでアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議と同時に開催された Voices of the Future(VoF)フォーラムに参加する機会をいただきました。この毎年恒例のフォーラムは、環太平洋地域の各地から若者を招き、ほかの若いリーダーたちやAPEC首脳、APECビジネス諮問委員会(ABAC)のメンバーと、自らの経験や視点、ビジョンを分かち合う場を提供するものです。APECが若者を国際的な対話に取り込もうとする背景には、この地域の人口動態のダイナミックな性質があります。世界の若者の60%以上がアジア太平洋に暮らしており、若者はこの地域の総人口のかなりの部分を占めてもいるのです。マニラは、この若い人口構造を体現しているように見えました。ショッピングモールは常に若者であふれ(ある代表団員によれば、買い物好きはフィリピン人の国民性なのだそうです)、通りはいつもエネルギーに沸き立ち、VoFフィリピン代表団は、自国の未来に持続的なインパクトを残すにはどうすればよいかについて、目を見張るほどの熱意を見せていました。
今年のVoFのテーマは、包摂的成長の一層の促進、社会の周縁に置かれた個人やコミュニティのエンパワーメント、そしてよりレジリエントな社会の設計を通じて、若者がいかにこの地域の持続可能な未来づくりに参画できるか、というものでした。これは間違いなく、非常に大きく難しいトピックです。国際機関がいまなお格闘している主題であり、若者が議論に参加する機会のほとんどないテーマでもあります。しかし、VoFフォーラムでのグループディスカッションやプレゼンテーションを通じて、地域の将来の繁栄を牽引するエンジンの一翼を担う私たちにも、持続可能性という目標の達成に向けて、小さくとも意義のある一歩を踏み出せるのだと気づき始めました。私が刺激を受けた一例が「Project H2O」です。これはフィリピンの若い科学者(キコ・コルテス氏)が立ち上げたイニシアチブで、携行可能なろ過装置を用いて、自然災害時の水の確保という課題に取り組むことを目指しています。このろ過装置はシンプルな素材と技術でつくられていますが、自然災害や水のショックに最も脆弱な人々の暮らしに、これまでも、そして今も影響を与え続けています。
さらに、VoFプログラムの一環として、APEC中小企業(SME)サミットとCEOサミットに参加する機会もありました。SMEサミットでは、トニー・フェルナンデス氏(エアアジアCEO)、カレン・レディントン氏(フェデックス・アジア太平洋プレジデント)、ジャック・マー氏(アリババグループ会長)という豪華な顔ぶれが、アジア太平洋で台頭しつつある消費者トレンドの分析に加え、革新的で包摂的なアイデアによって大きな変化を起こしてきた自身のストーリーを語ってくれました。CEOサミットでは、ベニグノ・アキノ3世(フィリピン)、ミシェル・バチェレ(チリ)、習近平(中華人民共和国)、バラク・オバマ(米国)をはじめとする地域の首脳たちの洞察を、直接聞くことができました。言うまでもなく、こうしたリーダーたちの話に耳を傾け、持続可能で包摂的な開発の未来に関するビジョンに刺激を受けたことは、得がたい経験でした。