GraSPPに入学した目的は何でしたか?
私はかねてより、アフリカの持続可能な経済発展に向けて企業戦略、公共政策、制度設計に影響を与えることを使命とする国際機関でキャリアを積みたいという強い思いを持っていました。そこで、GraSPPに入学した目的は、学界における同校の非の打ちどころのない伝統と、経験豊かな政策プロフェッショナルを輩出してきた実績を生かして、日本の経験から学ぶことにありました。日本は天然資源を持たずに成長を成し遂げた国であり、その経験は、科学技術、公共政策、民間セクターの取り組みがいかに効率を高め、資源配分を強化して開発成果を生み出し得るかを的確に示しているからです。
GraSPPの魅力や刺激を受けた点は何でしたか?
GraSPPの最も魅力的で刺激的だった点は、考えさせられる講義、事務スタッフと学生の心のこもった関係、そして深い知識と経験を備えた教授陣でした。これらをはじめとする要素が、GraSPPのうらやまれるほどの学術環境を支えていました。GraSPPは、革新的で聡明な人々が集う多彩な才能の拠点であり、私はそうした人々の豊かな文化や経験から、かけがえのない示唆を得ました。
GraSPPで印象に残っている経験や授業を教えてください
2011年にGraSPPが留学生向けに企画・資金提供してくれた、日本の歴史的な土地・日光への旅行では、今日のアフリカが江戸時代の日本と重なり合っているのではないかと感じさせる興味深い光景に出会いました。江戸時代の日本は、手動の機械、畜力による農機具、水準の低い教室、流血の争いなどに特徴づけられていましたが、工業化の推進、強力な公共政策、そして創造性によって、この国は現在の姿へと変貌を遂げたのです。
伊藤隆敏教授による「日本経済」と、林教授による「日本の経済政策形成過程」の授業は、最も記憶に残る授業でした。前者ではJapan Research Institute of Trade and Industry(JRIETI)で産業界・学界の専門家に自分の研究を発表する機会を、後者では国会議事堂で日本の政策立案者と面会する機会を得ました。
日本で学ぶことの利点は何ですか?
日本で学ぶことの利点は計り知れません。数多くの奨学金が提供されていること、首都の至るところに学習リソースセンターが点在していること、留学生が日本での生活への不安に対処できるよう温かく支えてくれる事務スタッフがいること、学業のことでも個人的なことでも、学生が気軽に教授に助けを求められることなどです。
日本の教育システムは、コースワークとコースワーク以外の活動の組み合わせを通じて、学生が自分の頭で考え、リスクを取る力を育み、多様性を受け入れられるようにする、この国ならではの訓練を提供しています。これにより学生は、日本の教訓を生かして、批判的思考力、問題解決能力、そして世界中の政策課題を適切に調査し緩和する力を高めるための専門的なスキルを身につけることができます。
GraSPPはあなたの人生にとってどのような意味を持ちましたか?
GraSPPは、私のキャリアの追求において大きな意味を持ちました。GraSPPで得た訓練と資格は、卒業後のキャリア人生に大きくプラスの影響を与えました。卒業直後は、GraSPPに入学する前に勤めていた以前の職場に戻りました。
その後、ガーナにあるドイツの二国間開発機関であるドイツ国際協力公社(GIZ)に、同社の「持続可能な経済発展」プログラムのテクニカル・アドバイザーとして着任し、ガーナの金融システムの安定を確保するための政策立案にガーナ中央銀行とともに取り組みました。後に、国際農業開発基金(IFAD)とアフリカ開発銀行(AfDB)がガーナ貿易産業省を通じて資金を提供する中小企業(SME)開発プロジェクトのプロジェクトマネージャー/コンサルタントに任命されました。この職務は、民間セクター開発・リサーチ分野のフリーランスコンサルタントとしての活動と兼任していました。
これから入学する学生へのアドバイス
GraSPPの現役学生へのアドバイスは、GraSPPが提供する多様性を生かして、それぞれの国に帰ったときに自国の経済を変革できるような多面的なスキルと知識を身につけてほしい、ということです。なぜなら、公共政策が特定の国の状況の中に閉じていた時代とは異なり、グローバル化の到来によって、世界中の公共政策に影響を及ぼすさまざまな介在要因が働くようになったからです。
新しいグローバル経済は、先進国と途上国双方の経済政策に甚大な影響を及ぼしており、金融危機や政治危機から大気をめぐる危機に至るまで、さまざまな形の危機への道を開いています。